カメラの手入れと旅:機材を働かせ続け、現地まで無事に届ける
カメラの損傷の多くは防げるもので、その大半は清掃中に自分でつけたものです。安全にやれること、どこでやめるべきか、そして機材を無事に旅から帰す方法をまとめます。

本当に壊れるものと、壊れたように見えるだけのもの
カメラは持ち主が思っているより丈夫で、そして1か所だけ、持ち主が気づいていないほど脆いところがあります。ボディは雨にも寒さにも、何年もバッグへ放り込まれることにも耐えます。耐えないのは、砂粒の付いた乾いたシャツでこすられたコーティング付きの前玉と、間に合わせのスワブでなでられたセンサーのフィルターです。
人が気にすることの大半は見た目の問題です。ズーム内部のホコリはふつうのことで、写りに出ることはまずありません。前玉の点も、ピント面からあまりに離れているので、散らす光の量は無視できます。効いてくるのはセンサーのホコリです。像が結ばれるその場所にあるので、絞り込むと柔らかい灰色の染みとして写ります。
コーティングを傷めずにレンズを清掃する
前玉には、厚さ数百ナノメートルの反射防止コーティングが載っています。硬いことは硬いのですが、海辺の砂の正体である石英の砂粒より硬いわけではありません。傷はすべて、粒子をガラスの上で引きずることから生まれます。ですから技術の要点は、何かが面に触れる前に粒子を取り除くことにあります。
- まず吹く。ブロアーで浮いた砂粒を飛ばします。缶入りのエアダスターは絶対に使わないこと。コーティングに負担がかかるほど冷たく噴き出しますし、噴射剤がガラスに飛ぶこともあります。
- 次にブラシ。清潔なレンズブラシで、こするのではなく一方向に払います。指に触れたブラシは、その時点で油を塗る道具に変わっているので、キャップをして保管してください。
- そこまでやってから、ようやく湿らせます。クリーニング液は布に1滴。レンズに直接垂らしてはいけません——鏡筒の中に流れ込みます。中心から外へ渦を描くように拭き、布のきれいな部分で乾かします。
- クロスは定期的に、柔軟剤を使わずに洗うこと。床に落ちたものは処分します。レンズに傷を付ける原因として最も多いのは、汚れたクロスです。
やってはいけないことが2つ。ガラスに息を吹きかけてこすらないこと。危ないのは、こする動作のほうです。そして、必要のないレンズを清掃しないこと。前玉より後玉と接点のほうが効いてきますし、そのどちらも空気と乾いた布だけで扱ってください。
センサーのホコリ:やっていいことと、やめるべき地点
人がセンサーと呼んでいるのは、その上に貼り合わされたフィルターの積層で、ボディ内手ブレ補正があれば可動する台の上に浮いています。シリコンそのものには触れられません。その上のフィルターなら、いとも簡単に傷を付けられます。そして修理は、サービスセンターでのユニット交換です。
まずホコリの位置を確かめます。f/16に設定し、マニュアルフォーカスで無限遠に合わせ、何もない壁かむらのない空を撮ります。壁が流れるよう、カメラを少し動かしながら撮ってください。そのファイルのコントラストを思い切り上げます。ホコリは、決まった位置にある暗い染みとして見えます。
内蔵のクリーニング機能を動かす
ミラーレスのボディはほぼすべて、起動時か任意のタイミングでフィルターの積層を振動させます。2〜3回動かしてから、テストのコマを撮り直してください。かなりの割合のホコリが落ちますし、これで何かを壊すことはありません。
マウントを下に向けて吹き出す
メニューの手動センサークリーニングを使います。機構がその位置で固定されます。外れたホコリが落ちるよう、マウントを床に向けてボディを持ってください。ブロアーの先端はマウントの開口部より外に保ち、内側には絶対に入れないこと。
シャッターの手前でやめる
シャッター幕には、何ひとつ触れさせないこと。電源を切るとシャッターをセンサーの前に閉じるボディもあれば、閉じないボディもあるので、目の前にあるのは厚さ100分の数ミリの羽根かもしれません。羽根が1枚曲がれば修理工場行きで、しかも曲がるのは一瞬です。
湿式清掃をやるかどうか、正直に決める
空気で落ちなかったなら、そのホコリは固着しています。固着したホコリにはスワブと溶剤が要ります。失敗が高く付き始めるのは、ここからです。自信がないなら、ここでやめて、サービスセンターに清掃を予約してください。
自分でやるなら、一度で正しくやる
自分のセンサー幅ぴったりに作られたスワブを使い、対応する液を2〜3滴、それ以上は使わない。軽く均一な力で、往復それぞれ1回ずつ、止めずに通す。終わったらスワブは捨てます。使い回さないこと、綿棒やティッシュで代用しないこと、そしてホコリの多い部屋では絶対にやらないこと。
結露、寒さ、そして密閉袋の裏技
結露は、まわりの空気の露点より冷たい面ならどこにでも生じます。冷房の効いた部屋から熱帯の湿気の中へ、あるいは冬の街から暖かいカフェへカメラを持ち込めば、水はレンズの表面だけでなく内部にも現れます。問題は内部のほうです。消えるまでに何時間もかかりますし、それを繰り返せばカビを呼び、接点を腐食させます。
対策は、乾いた空気の中でゆっくり温度を上げてやることです。そして乾いた空気を手に入れるいちばん安い方法は、自分で持ち込むことです。冷たい場所を出る前に、カメラとレンズを大きめのフリーザーバッグに入れて密閉し、空気を押し出します。そして袋が室温になるまで——温度差が小さければ20分、冬の朝のあとなら1時間以上——開けずに待ちます。結露は袋の外側にできます。そこにできてほしいのですから、それでいいのです。
- バッテリーは寒さで容量が落ちます。予備は内ポケットに入れて交互に使ってください。氷点下5度で切れたバッテリーも、温まれば復活することがよくあります。
- バッグに入れるシリカゲルの小袋はただ同然で、湿度の高い土地では持つ価値があります。ときどき低温のオーブンで乾かせば、また働きます。
- レンズの内部が曇ってしまったら、キャップを外して暖かく乾いた場所に1日置いてください。熱いところには置かないこと。
防塵防滴が約束していないこと
防塵防滴とは、合わせ目、蓋、操作部にパッキンが入っているという意味で、雨、しぶき、ホコリを想定した設計です。防水の等級ではありません。レンズ交換式カメラのメーカーの多くはIP等級を公表せず——タフネスコンパクトやアクションカメラでは公表されることが多いのですが——この機能を防水ではなく耐性と説明し、水による損傷を保証から除外しています。その3つが揃っている意味を、そのまま受け取ってください。
- 防塵防滴はシステムの話です。防滴でないレンズを付けた防滴ボディは、防滴でないカメラです。弱点はたいていマウント部にあります。カードの蓋や端子カバーが開いていれば、同じことです。
- パッキンは劣化します。ゴムは硬くなり、へたります。10年前の防滴ボディは、工場を出たときの水準では守られていません。
- 塩と砂は水より厄介です。塩は接点を腐食させ、ズーム機構を固着させます。砂は削ります。海辺で1日過ごしたあとは、防滴ボディでもごく軽く湿らせた布で拭いてください。
- 防塵防滴は前玉を守りません。そして雨が当たるのは、まさにその前玉です。レンズフードを付ければ雨の大半は防げますし、取り付けられるなかで最も安い衝撃対策でもあります。
買うときは、防塵防滴を保証としてではなく、いくつもある絞り込み条件の1つとして扱ってください—— カメラの選び方 が、ほかの条件と並べて位置づけています。雨の日に効くのは、防滴のスペックより安いレインカバーのほうです。
バッテリー、カード、そして飛行機に乗るとき
航空会社の規則で、これだけは選べません。予備のリチウムバッテリーは機内持ち込みで、預け入れ荷物には絶対に入れません。単体のカメラ用バッテリーとモバイルバッテリーのすべてが対象です。端子は付属のキャップか、1個ずつ小袋に入れるかして保護し、金属が端子間をつながないようにしてください。カメラに入ったままのバッテリーを預け入れることはたいてい認められていますが、規則は航空会社によっても路線によっても違うので、飛ぶ前に自分が乗る会社の規定を確認してください——カメラを自分で持って乗れば、この問題自体がまったく起きません。
- 予備バッテリーは、ボディ1台につき2個が実用的な数です。ミラーレスは1日中電子ビューファインダーを動かしますし、動画はさらに速く減り、寒さはそのすべてから一定量を持っていきます。
- 大容量1枚より、中容量2〜3枚を選んでください。カードが壊れても、失うのは旅の全部ではなく一部で済みます。フォーマットは、実際に使うカメラで行うこと。
- 毎晩、カメラバッグの外にあるものへバックアップしてください。同じバッグに入った2つのコピーは、1つのコピーです。
- USBで充電できるボディなら、スマホの充電器やモバイルバッテリーを共用できます。持ち物が1つ減ります。
この一式に合う持ち物リスト
これは 最初の3本のレンズ の3本構成に合わせたリストで、小さめのデイパックに収まります。載っているものはすべて、写真を撮るものか、写真を撮るものが止まらないようにするもののどちらかです。
| もの | 数 | 理由 |
|---|---|---|
| ボディ | 1台 | 2台目はプロの保険であって、旅の必需品ではない |
| キットズームか旅用ズーム1本 | 1本 | レンズ交換なしで旅の大半をカバーできる |
| 明るい標準単焦点 | 1本 | 食事、バー、美術館、日没後のすべて |
| 3本目のレンズ | 0か1本 | 前回の旅で実際に使ったときだけ持っていく |
| 予備バッテリー | ボディ1台につき2個 | 機内持ち込みのみ、端子は保護する |
| メモリーカード | 中容量を2〜3枚 | 壊れても失うのは旅の一部で、全部ではない |
| 充電器、変換プラグ、予備ケーブル | 1式 | USB-Cのボディならスマホの充電器を共用できる |
| ブロアー | 1個 | 何も傷つけずに済む唯一の清掃道具 |
| マイクロファイバークロス | 2枚 | 1枚はレンズ用、1枚は画面と雨用 |
| 大きめの密閉フリーザーバッグ | 2枚 | 結露対策、そして緊急のレインカバー |
| レンズフード | レンズごとに1つ | 雨、フレア、そして最も安い衝撃対策 |
| バックアップ用のドライブかノートPC | 1台 | カメラとは別に持ち歩く、2つ目のコピー |
旅の前にやることが2つ。まだサービスセンターという選択肢が残っている自宅で、f/16のホコリ確認を撮っておくこと。そして 露出の基本 にある出発点を使って、カスタムモードを設定しておくこと。何を持っていくか迷っているなら、どのレンズを置いていくかは 焦点距離とフレーミング で割り出せますし、 カメラのクエスト がボディを絞り込みます。
読者からよくある質問
- センサーは自分で清掃できますか?
- 空気を使う清掃なら、できます。内蔵のクリーニング機能と、マウントを下に向けてのブロアーは安全で、たいていはそれで足ります。スワブと溶剤を使う湿式清掃は、失敗が高く付き始める地点です。フィルターの積層に傷が付けば、サービスセンターでのユニット交換になるからです。自信がないなら、自分のカメラで練習するのではなく、清掃を予約してください。
- 防塵防滴のカメラは防水ですか?
- いいえ。防塵防滴は雨、しぶき、ホコリに対する耐性です。レンズ交換式カメラのメーカーの多くは防水の等級を公表しておらず——タフネスコンパクトやアクションカメラは例外です——水による損傷はふつう保証の対象外です。しかもレンズが防滴であること、蓋がすべて閉まっていることが前提で、パッキンはカメラが古くなるほど硬くなります。
- カメラのバッテリーは手荷物に入れなければいけませんか?
- 予備のリチウムバッテリーとモバイルバッテリーは機内に持ち込む必要があり、預け入れ荷物には入れられません。端子はショートしないよう保護してください。カメラに入ったままのバッテリーを預け入れ荷物に入れることはたいてい認められていますが、規則は航空会社によっても路線によっても違うので、飛ぶ前に自分が乗る会社の規定を確認してください——カメラを自分で持って乗れば、この問題自体が起きません。
- ズームレンズの内部のホコリは心配すべきですか?
- ほとんどの場合、心配は要りません。ズームは伸びるときに空気を吸い込むので、1年も使えば内部に点がいくつかあるのはふつうですし、ピント面からはるかに外れています。写真に出るのはセンサーのホコリのほうで、絞り込んでいくと、たいていf/11あたりから柔らかい灰色の染みとして現れます。開口が小さいほど、その影がくっきり写るからです。
- 湿気の多い土地に着いたとき、結露はどう防ぎますか?
- まだ涼しく乾いた空気の中にいるうちに、カメラとレンズを大きめのフリーザーバッグに入れて密閉し、空気を押し出します。そして袋が周囲の温度になるまで、開けずに待ってください。水はレンズの内部ではなく、袋の外側にできます。温度差が小さければ20分、大きければ1時間以上みておくこと。